龍馬の銃(S&W・モデル2・アーミー)
坂本龍馬の銃で知られるS&Wのモデル2・アーミーのモデルガンは今まで三つのブランド、六つの仕様で発売されています。
はじめはブレインズ・レプリカが「坂本龍馬のリボルバー」、次にフランクリン・ミントが「坂本龍馬の拳銃」という商品名でS&W・モデル2・アーミーのモデルガンをダミーカート式のディスプレイ・モデルとして発売しました。
その後しばらくして、製造元のマルシン工業が(坂本龍馬の銃としてではなく)純粋なS&W・モデル2・アーミーのモデルガンとしてダミーカートのHW モデルと発火仕様のABSモデルとHW 発火仕様(キットのみ)の3種類を発売しました。
そして去年、マルシン工業はこのS&W・モデル2・アーミーのモデルガンをリニューアルし「坂本龍馬の銃」として発売しました。
周知のごとくこの三種類のモデル2・アーミーは同じ金型(製品毎に修正されてますが)を使った兄弟モデルで、生産はマルシン、原型製作はかの六人部氏と言われています。
写真は上から、ブレインズ・レプリカ「坂本龍馬のリボルバー」、フランクリン・ミント「坂本龍馬の拳銃」、マルシン・ABS発火モデル、マルシン「坂本龍馬の銃」です。
ブレインズ・レプリカ版の外見は、当時のモデルガンで流行したメタルフィニッシュと呼ばれる仕上げで。プラスチックに金属メッキをかけ、それを黒染めすることで一見、金属モデルのように見せています。
銃身は完全閉鎖、刻印は"SMITH&WESSON"と正確に入れられていました。付属品は坂本龍馬の写真を背景にした展示パネルと、一括入金者のみの購入特典として真鍮製のダミーカートが6発付属していました。このダミーカートは当時のパッケージを模した紙箱に入れられた凝ったものでした。
「坂本龍馬のリボルバー」として発売されたブレインズ・レプリカ版モデル2・アーミーは通販のみの販売で、私の知る限りでは「歴史読本」(昭和60年 11月号)と読売新聞の夕刊、雑誌「フォーカス」にそれぞれ一回ずつしか広告が掲載されなかったため、当時のモデルガン・マニアでも知らなかった人が多かったようです。また、実際に発売されたのは申し込みが始まってから一年近く経ってからで、その間、制作が遅れている旨の「お詫び状」が送られてきました。(遅れの原因として原型制作者の『凝り性』が挙げられていました。)
広告によれば「限定150挺」ということでしたが、製品にシリアル・ナンバー等は入れられておらず、実際に何挺生産されたのかは不明です。
フランクリン・ミント版はブレインズ・レプリカ版と同じくダミーカート仕様でABSにシルバー・フィニッシュ、トリガーとハンマーは金メッキでした。特徴的なのはサイドプレートに坂本家の家紋である違枡桔梗紋が入れられていますが、もちろん考証的にはNGです。
銃身が完全閉鎖されているのはブレインズ・レプリカ版と同じですが、刻印は商標権に考慮して"SMITII&WLSSON"になっていました。
付属品は他のフランクリン・ミント製品に準じた展示用パネルと、(寺田屋事件の際に5発装填されていたという故事に習い?)真鍮製のダミーカートが5発で、ダミーカートはブレインズ・レプリカ版とは違う弾頭のないタイプでした。
マルシン版は、はじめにダミーカート仕様のHW版が発売され、後に発火タイプのABS版が発売されました。(後にキットも発売されました。)
マルシン版は前2作とは違い、銃身はインサート入り貫通タイプですが、刻印はフランクリン・ミント版と同じ"SMITII&WLSSON"でした。
また、発火モデルのカートリッジはマルシン得意の内発火式ではなく前撃針タイプでした。
マルシンのモデル2・アーミーは初回出荷の際、輸送中にフレーム先端部の破損が相次いだことから、急遽バレルとフレームを分離させたパッケージに変更されました。
そして「坂本龍馬の銃」としてリニューアルされたマルシン版は桐箱に入った豪華仕様で、刻印は正式にライセンスを取って"SMITH&WESSON"になり、ダミーカートも弾頭を塗装したリアルな物になっています。
このモデルは限定品ですが現在(2010年3月)でも流通在庫はあるようです。
*)この記事はミリタリーブログ内にあるA child's adventure〈別館〉2007年10月12日の記事を加筆修正した物です。
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